先日渋谷の西武百貨店が閉店して渋谷に百貨店が一軒も無くなったと言うさみしいニュースを耳にしました。日本がまだ経済成長時代には皆が楽しんで買い物や食事をした百貨店が次々とテナントビルに姿を変えたり閉店を余儀なくされて居ます。
此処にお客様に頂いた1976年三越本店宣伝部発行の300ページに及ぶ素晴らしい書籍が有ります。「ペルシャ五千年美術絨毯」と言う本です。非売品と有りますので恐らくお帳場前主や絨毯をご購入のお客様などに配っていた本なのでしょう。
1976年と言いますとまだペルシャ絨毯が日本であまり認知・使用されていない時代で百貨店の王様が絨毯の啓蒙の為に発刊した貴重な本かと思います。既にこの時代ダイエーやイトーヨーカドーなどスーパーストアが飛ぶ鳥を落とす勢いで台頭していましたが、百貨店は”これからは商品では無く文化を売る時代”と言い放ちまだまだ小売業界で格段の地位を保っていた頃です。三越百貨店自体は此の後、<古代ペルシャ秘宝展の偽物騒ぎ>や<三越の女帝事件>などで「何故だ!」で有名な社長解任劇に至り信用がぐらついてしまいますが、ペルシャ絨毯はその後バブルに向かって倍々ゲームの様に好調な売れ行きを記録します。三越百貨店の思惑が見事に当たったという事ですね。その後ペルシャ絨毯の販売は全国の百貨店に波及し稼ぎ頭の商品へと成長します。
この本の後書きに十数名のチームを組みひと月に渡るイラン滞在の末に本を作り上げたと有りますが、今では考えられないスケールの大きさですね。当時イランは親米パフラヴィ―王朝でありイラン輸出振興局のバックアップもありそして物価もかなり安い時代であり、一方日本は右肩上がりの時代であり全てがうまく繋がったようです。


本の内容はペルシャ絨毯の歴史・産地・デザイン・製作・メンテナンスなどの説明文章と400枚ほどの絨毯の写真と説明文から見事に構成されています。産地(イスファハン・タブリーズ・ナイン・クム・カシャン・ヤラメ・トルクメン・バルーチ・マラヤ―・メイメイ・サル―・その他)の括りで分類されていますが、ギャッベに付いての記述は何も無いのが、1976年当時の発刊を物語ります。今では人気のペルシャ絨毯ギャッベの記述が何も無いのは考えられませんが、日本へギャッベ絨毯が次第に入るように成ったのは1980年代以降の事です。
インターネットの無い時代この本の価値は今と比べ物にならない程高かったと思います。確かに今思えば三越本店はペルシャ絨毯と言う文化を言葉通りに販売したんだなァ~と感心します。

お使い下さい‼手織り絨毯
フロムギャッベ
*この話しを書いていて懐かしい失敗を思い出しました。
百貨店の納入業者は社員通用口で会社名個人名を記入の上、入館バッジを胸に付けて入館するのが決まりですが、若かりし頃、渋谷の西武百貨店から日本橋三越へと車で梯子するのに渋谷の西武百貨店のバッジを返し忘れて胸に付けたまま三越本店へ行ってしまいました。
行くなり三越の守衛さん”お前いい根性しているな!”
私 ”何の事か判らず”ええェ~
守衛さん ”バッジ!バッジ!
私 ”アッ!すみません!
確かこんな感じです。
