トルコではヘイべと、イランではホルジンと呼ばれますが、遊牧民が馬や駱駝やロバの背に取り付けるサドルバッグ兼馬飾りの様な物の事です。(鞍掛袋)
遊牧民にとってキリムの袋物は生活の必需品でした。
大きな駱駝用キャメルバッグの縫製を解くと幅1メートル強x長さ2メートル強の細長いキリムとして敷物の様に利用することが出来ます。(勿論ロバ用の小さなドンキーバッグも有ります。)
遊牧地を移動する際に先頭の家畜にはバッグとしての実用的な面の他に部族の象徴を示したり・織り技術を誇示する飾り付けの側面があり素晴らしい力作が使われます。遊牧の人々も定住化政策で定住したり半定住半遊牧の人々も駱駝の代わりにトラックを利用するようになり現在では作られることも少なくなって来ていますので残念乍ら素晴らしいヘイべやホルジンは希少な物になって仕舞う事でしょう。
アフシャル・バクティアリ・ルリ・シャーサバン・バローチと言った遊牧民の女性達にとって一番の織り技術の見せ所はサドルバッグだったのかもしれません。
今回ご紹介する2枚は単純なキリム部分とパイル絨毯部分とスマック織り(飾りキリム)部分の3つの部分に織り分けられています。これを見るとキリム(平織)が基本でスマック織りやパイル絨毯に発展した様が見て取れます。
敷物として床に使ってもタペストリーとして壁に使ってもお部屋の雰囲気を一変させるとてもお洒落なインテリアのアイテムになります。
2枚共に恐らくイランのバクティアリ族の1960年~1980年代に作られたものと思われますが、駱駝用の大きいサイズですのでタピストリーとして壁に掛けると特に素晴らしいと思います。
古民家のお蕎麦屋さんやレストランのエントランスの真っ白い壁、別荘の天然木の壁など何処にに飾っても良しの力が有ります。
かつて羊飼いの人々が自分たちの羊の毛から自分たちの為に作った力の籠った傑作です。
🅰 ホルジン イラン 110×215㎝ ¥242,000
🅱 ホルジン イラン 106×220㎝ ¥242,000
お使い下さい!!手織り絨毯
フロムギャッベ
*トラックの無い時代遊牧民にとって駱駝は移動の際、家財道具一式を運んでくれる一番大切な家畜でした。言わば高級車ベンツとトラックを合わせた様なものです。
次の目的地に進むのにヘイべやホルジンで家畜を飾って「さあ!行くぞ」見たいな気合を入れるみたいな役目もあったのではないでしょうか?いつの間にか無くなりましたが、昭和50年代頃迄日本では新年に向けて車を洗車してフロントに正月飾りを付けたりしました。西洋の騎士や日本の高位の侍も馬に実用と飾りを兼ねた物を付けていました。古今東西人々はその時代に大切な乗り物には飾り付けをする習性があるようですね。