ヨーロッパ製手織り絨毯とウイリアム・モリス 

手織り絨毯

ペルシャ絨毯

 

 

手織り絨毯はその昔、中央アジアの遊牧民が発明して東西南北へとアジア大陸の広い地域に伝播した事は多くの人が知っているかもしれませんが、日本でも中国段通の影響を受けて江戸時代の終わりから大正時代に掛けて盛んに作られて欧米へも輸出されていた事をご存知の方は少ないと思います。

参考:
https://from-gabbeh.com/nihon‐no‐teoriju…rekisi‐to‐genjou/ ‎

そして更にヨーロッパ(西欧)で手織り絨毯が作られていた事を知っている方は日本ではもっと少ないと思います。手織り絨毯はある意味人件費との闘いですので、物価が上がり人件費が高騰して販売価格に対して合わなくなったり、より良い職業が出現するとその地域での生産は難しくなります。アゼルバイジャンを初めとするコーカサス地方(アゼルバイジャン・ジョージア・アルメニア・タゲスタン)で作られていた素晴らしいコーカサス絨毯なども古いものやキリムは見かけますが、最近新品はアフガニスタンやパキスタン製のカザックデザインしか見なくなりました。コーカサス絨毯も風前の灯なのですかね~。それともほとんどヨーロッパに行ってしまうのか? この地域では絨毯は必需品ですので国内消費も結構あると思います。詳しい事は知りません。


オリエンタル・カーペットを参考にしてヨーロッパ(西欧)で起こった手織り絨毯の産地は主にスペイン・フランス・イギリスとアイルランドです。更に東欧(スカンジナビアや旧ソ連圏のバルカン半島の国々)にもその技術は伝播しているようです。

 


スペインは8世紀よりムーア人(イスラム)の支配が数世紀の間及んでいたので何となく西アジア~北アフリカ経由ルートによる伝播をイメージ出来ますが、フランス・イギリスは?ですね。1254年or1255年のウエストミンスターで行われたスペインの王女エレノアと英国のエドワード1世との結婚式の際には、スペイン南部カディスやコルドバから沢山のスペイン絨毯が運ばれたようです。13世紀後半から15世紀にかけてはスペインはヨーロッパ唯一の絨毯生産国で有り高い評価を受けていました。(イギリスの絨毯生産は16世紀に開始)
14世紀に作られた現存する最古のスペイン絨毯として有名なシナゴーグ絨毯と15世紀のアドミラル絨毯が特筆されます。

Admiral Heraldic Carpet (philamuseum.org)



フランスの手織り絨毯は1600年初頭にアンリ4世がパリのルーブルに王立として設立したのが始まりです。続いてルイ13世がパリの西にある石鹸工場跡地にサボネリー絨毯(1626年or1628年~)を設立し1830年代まで続きます。フランス中央部のオービュッソン絨毯(タピストリー)と共にその名を残して居ります。


Large Antique French Savonnerie Carpet 

549 x 411㎝


 

サボネリー 19th 538 x 434cm


サヴォヌリー・マニュファクトリー |名声と不屈の精神を持つ絨毯 |フランス語, パリ |メトロポリタン美術館 (metmuseum.org)

サヴォヌリー・マニュファクトリー |風景絨毯 |フランス語, パリ |メトロポリタン美術館 (metmuseum.org)

サヴォヌリー・マニュファクトリー |絨毯(タピス) |フランス語, パリ |メトロポリタン美術館 (metmuseum.org)


この時代アンリ4世の王室御用達の手工芸ゴブラン織りタピストリーもサボネリー絨毯と並び有名ですが、オービュッソンでは産業革命で一度は途絶えたタピストリー技術(飾りキリム技術)を1884年に国立装飾美術学校を作って再興し現在もタピストリーがその技法で作られて居り2009年にユネスコの無形文化遺産に登録されました。

 

aubusson_carpet_france_1820

それを受けて2016年に開館したオービュッソン国際タピスリーセンターで3人の職人が1年がかりで織り上げた宮崎駿監督作品(ハウルの城)のワンシーンを題材にした11畳程の巨大タペストリーが披露されて話題になりました。「宮崎駿の空想世界をタピスリーに織る」シリーズ第1弾は<もののけ姫>・第2弾が<千と千尋の神隠し>第三弾・第四弾が<ハウルの動く城>で<風の谷のナウシカ>(2025年予定)へと続く様です。第一弾の<もののけ姫〉タペストリーが2025年の大阪万博で展示されるとの事です。国際タピスリーセンターには現存する最古のオービュッソン産タピスリー「千花模様の一角獣」 から20世紀を代表する画家ピカソや建築家ル・コルビュジェなどの芸術家とのコラボ作品まで展示されています。
イランのアフシャル族のスィールジャンキリムも2017年にユネスコの無形文化遺産に登録されていますがどちらも別途飾りの横糸を経糸に巻き付けながら織る飾りキリムの技法ですね。

以下のyoutube動画に巨大な巻取り式の手機織機から完成したペストリ―をまるで大相撲の断髪式の様に関係者が一人ひとり経糸にハサミ入れて降ろす場面が有りました。1年に一回の完成時にしか無い場面ですので見て下さい。

 



イギリスの手織り絨毯の製造はフランスより1世紀ほど早い1500年代には始まっているようです。1700年頃までは東部ノリッジなどイングランド東南部の町が主要拠点でしたので16世紀から17世紀に掛けてイギリスで織られた現存する14の絨毯はノリッジ絨毯と呼ばれています。1600年代に始まった南西部の町ウィルトン(1750年代にはウィルトン機械織りに発展)や、1735年に始まったイングランド中西部のウースターシャー県のキダーミンスター産平織絨毯も有名です。キダーミンスターはかつてより毛織物が盛んであった地域でイギリス一番のウール絨毯の産地に発展したようです。18世紀の終盤に産業革命を境に手織りは衰退し力織機織りへと移行したようですが、現在イギリス唯一の絨毯博物館が有り手織り絨毯のデモンストレーションが催されているとの事です。1755年に始められたアキスミンスター産のトルコ結び手織絨毯もその品質の高さで有名で1835年頃まで続いてその名を残しています。
イギリスの手織り絨毯の歴史は1500年代に始まり産業革命を境に衰退して18世紀の後半から19世紀前半にかけて廃業か機械織り工場に転化したようです。


1880年頃になると産業革命(大量生産)の反動として巻き起こった思想=つまらない機械工業製品からの脱皮と手工芸の復興を唱えた英<アーツ&クラフツ運動>が起こり手織り絨毯の製造がイギリス・スコットランドに続いてツイード生地で有名なアイルランドド二ゴールに展開されたようです。(スコットランド人・アレクサンダー・モートンが創業)
先のアーツ&クラフツ運動の先導者で建築・テキスタイル・壁紙などのデザイナーとして有名なウイリアム・モリス(1834~1896)やチャールズ・F・A・ヴォイジー(1857~1941)らのデザイン絨毯が19世紀末頃からロンドン近郊で手織りされたり、キダーミンスターの力織機で織られたり、更にアイルランドのド二ゴールで手織りされた様です。(Donegal carpets)

Donegal

A DONEGAL ‘THE ROSE’ CARPET
CIRCA 1900, DESIGNED BY C.F.A. VOYSEY

参考:

絨毯 |ウィリアム モリス |Dearle, John Henry |V&A コレクションを探る (vam.ac.uk)

アイルランド・ドニゴールで織られたチャールズ・F・A・ヴォイジーのウールカーペット

アイルランド絨毯はド二ゴール湾の北に位置する港町キリーベグスで1987年迄続き、ついに工場は閉鎖されてしまいましたが、1999年にキリーべグス市の住民によって再開されました。ダブリン城やキルメナイム王立病院へ、そしてバチカン・バッキンガム宮殿・米ホワイトハウスへも供給されたようです。      
カシャンとハマースミスとブログ
昨日ですが、玄関マットをお買上げ下さったお客様へのプレゼント用のスリッパを欲っしてご来店のお客様がいらしたのですが、店頭に展示していたブルーのペルシャ・カシャンの絨毯・生命の木に絡みつく様な花鳥図デザインを見てウイリアム・モリスさんのデザイ


現在もヨーロッパ(西欧)の
スペインアイルランドで小規模ながらも手織り絨毯の製作が続けられています。 素晴らしいですね~。

一度途絶えたフランス・オービュッソンの飾りキリムも仲間に入れましょー。オービュッソンでは日本人女性職人も頑張っているとの事です。

*因みにヨーロッパのベルギー絨毯も有名ですが、機械織り絨毯として有名なのでお間違え無く。

 

William Morris lamps と比べて見て下さい!
ウイリアムモリスのファブリックスとペルシャ絨毯の文様に共通するものが有りますね!
ウイリアム・モリスも世界最高の織物はペルシャ絨毯と言っていたようです。

ウイリアムモリスのイチゴ泥棒

ペルシャ絨毯 花鳥文様

 

テーブルランプ 069wil- kuro  h290mm 23,100円

069青

069str-ブルー  23,100円

069pin-ブラウン  h290㎜  23,100円

026mar-N h450㎜ 35,200円

ペルシャ絨毯 ケルマン  ヘザーレ・ゴル( 千花文様)

026mar-B テーブルランプ 35,200円

026wil-G h450㎜ 35,200円

008pin-B h550㎜ 49,500円

008pin h550㎜   49,500円

 

 

 

 

 

テーブルランプ 008chr 49,500円

 

002str-B h540㎜     47,300円

テーブルランプ 002str-R 47,300円

001wil h460㎜  47,300円

フロアスタンド 101wil h1610mm 115,500円

 

フロアスタンド 101vin                        h1610mm 115,500円

フロアスタンド

フロアスタンド マリーゴールド                      h1610mm  115,500円

 

ペルシャ絨毯

 

 

ペルシャ絨毯

ウイリアムモリス・ジャスミン

55 idées de William moris | morris, papier peint, art décoratif

William Morris  デザイン

The Textile Blog: William Morris and the Oriental Carpet | William ...

ウイリアムモリスのデザインラグ

 

 

 

 

 

 

 

 


*19世紀末から20世紀にかけてヨーロッパで花開いた新しい芸術アール・ヌーヴォー:art nouveau>
草花など自然界をモチーフとする自由な曲線芸術の誕生にはジャポニスムの影響があるようですが、オリエンタル絨毯が与えた影響も少なく無いようです。


*アラベスク模様・唐草模様・花鳥図・ペイズリー模様…良いデザインは世界中を駆け巡ります。シルクロード、交流交易、馬・大航海時代、船・戦争、征服と手段・目的は様々ですが・・・
世界は広いようで狭いです‼

お使い下さい手織り絨毯
フロムギャッベ
from-gabbeh@rakumail.jp
              

 

 

 

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