ペルシャ絨毯の織り子さん(バーファンデ)事情を考えてみたいと思います。
現在ペルシャ絨毯は世界中から強い需要が有りますので沢山の絨毯が作られて輸出されていますが、手織り絨毯製作はとても時間の掛かる手仕事です。機械もAIも通用しない世界です。
イランはこの数十年の間日本とは反対にずっとインフレでした。簡単に言うと景気が良かったのです。日本のバブル期には沢山イランから「ジャパンドリーム」を求めて来日しました。
私のイランの友人が1990年代に日本語学校時代にアルバイトで稼いだ80万円でテヘランに購入した家が今は4000万円強だそうです。不動産の高騰は特別としても態々日本に来て働く利点は無い程イランの物価も人件費も上がっています。
経済が発展して色々な仕事が増えて若い人・都会の人から絨毯を織れる人は減っているのも事実です。
特にシルクの絨毯などを織る腕の良い織り子さんは引っ張りダコで絨毯工房が織り子さんの為に家を用意したり髙待遇で他の工房に引き抜かれない様に苦労しているという話も聞きます。
かつて手織り絨毯の織り子さんの目がつぶれる程の酷使労働や低賃金と言った噂が日本でも有りましたが、全くの誤りです。親御さんや聖職者が子供たちを集めて将来の為手に職を付けて生活に困らない様にと手織り技術を教えたりもしていました。こんにち都市部では織り子さんがより高い賃金を得られる絨毯を選んで織る時代になって居ります。
又、織り子さんと言うと若い女性ばかりのイメージですが、実際は男性の織り子さんも沢山居り、ペルシャ絨毯5大産地で有名なタブリーズではそのほとんどが、男性です。
今後更にイランの物価や人件費は徐々に上がって行く筈です。絨毯輸入国の物価もイランと同じように上がって行けば問題は無いのですが、かつてヘレケのシルク絨毯が物価・人件費高騰からイランに下請けに出されたり、今や中国に下請けに出されている様になってしまうのか? 又は、イランにアフガニスタン・パキスタンなどイランより物価の低い国からの手織り絨毯技術者の受け入れが進むのか?
なかなか難しい問題です。
手織り絨毯の価格はその国の物価と人件費に比例しますのでこの様なイランの織り手不足や高賃金・物価高を考えると急激な円高・原油安でも起こらない限りこれからペルシャ絨毯が日本で更に高価な品物になってしまうのは間違いなさそうです。
お使いください‼手織り絨毯
フロムギャッベ