最も有名な北京絨毯は紫禁城の宮廷絨毯です。明時代の現存する絨毯は30枚余りしか残っていないようです。その中でも4mx5mの最大面積のものが、パリのクリスティーズオークションに置いて8億8400万円で落札されました。五爪の龍の図案の絨毯で16世紀の明王朝の時代に紫禁城の専用工房で織られたものだそうです。五爪は皇帝にしか許されていなかったので、皇帝の玉座が置かれていた床に敷かれていた事が判ります。清王朝の1800年代には盛んに宮廷絨毯が製作されたようです。
一方19世紀後期になると市井の絨毯として新疆や寧夏から北京周辺での製造が、活発になります。其の後、中国絨毯が1903年の米国セントルイス国際博覧会で金賞を取ったのをキッカケにして米国への輸出品へと変貌を遂げます。当時欧米で人気のアールデコ様式(1915~)のデザインを取り入れて絨毯は中国の重要な輸出産品となり北京や天津から米国へ輸出される様になりました。1900年前後には北京絨毯は寧夏絨毯を踏襲して中央に意味を持つ八角形や丸い形状のメダリオンにボーダーを持ち動物・鳳凰・ドラゴン・雲帯・ロータスなどの草花がモチーフの古典的な物でしたが、1910年代には米国への輸出品としてアールデコ調で色彩も華やかな物へとアレンジされます。ペルシャからアメリカンサルークなる米国への大ヒット絨毯が産まれた時期と経緯がアールデコ北京絨毯ととても良く似ているように思います。両者のヒットの陰には次の様な時代背景が有ります。第一次世界大戦(1914・7~1918・11迄)でヨーロッパが戦場となり生産者が自ずと米国に目を向けるようになった事と米国の強大な経済力と人口増加の時期が大戦と重なって大ヒット(ペルシャのアメリカンサルーク絨毯やアールデコ北京絨毯)となったと言う事です。
お使い下さい!!手織り絨毯
フロムギャッベ