ペルシャンギャッベ絨毯の四隅にタッセルみたいなボンボン飾りが付いています。大方はこのボンボン飾りが可愛いと気に入る事が多いのですが、時折りお客さんより邪魔だから取っちゃて貰えないかとのご要望が有ります。そんな時には本体に影響の無い後付けの飾りですから(大丈夫ですよ~)とハサミでチョッキンして差し上げるのですが、確かに他の絨毯に飾り房など付いているのを見た事もない(インド製のギャッベ風絨毯やキリム風コットンダリーを除いて)ですし使用上も邪魔になりますよね。機能上必要無い物が何千年も続く手織り絨毯に付いているのは一寸不思議ですね。
元々ギャッベ絨毯自体がカシュガイ族の嫁入り前の娘さんがお母さんと一緒に数枚織って結婚式で披露した物(嫁入り道具)である様です。(注*かつてザクロス山脈にはカシュガイ族以外のルリ・ハムセと言ったいくつかの遊牧民の集団が有りそれぞれ特徴ある絨毯を作っていました。それらを総称してギャッベと呼びます。)
ちょっとイランの方に聞いてみたことが或るのですが、マングレと呼ばれるこのボンボン飾りは結婚式など祝時にテントハウスの入り口などに2つセットで(まるで門松の様に)付けたりグルリとぶら下げてデコレーションする飾り物であって特に絨毯に取り付けるものでは無かったのが今日人気が有るのでギャッベ絨毯と結びついて当たり前の様に付いているのではないかと言う事でした。
イラン南西部のザクロス山脈周辺で夏冬の牧草地帯を求めて移動するカシュガイ族の人々の日本で言うと熨斗か水引のようなお祝いの印であるボンボン飾りと結婚式でお披露目する絨毯ギャッベが結びついたのかもしれません。フエルトで作られたカシュガイ帽をかぶった羊飼いの男とカラフルな衣装を身に着けたおしゃれな女性のカシュガイ族ですが、政府の推進で時代と共に定住化も進んでギャッベもどんどん商業的になってきましたが、古き良き習慣・伝統が残っていくと良いですね。
そんな訳でマングレは飾りとして付けたままでも良いですし邪魔と思えば取ってしまえば良いと言う事なのですが、そんなに頑丈に取り付けられて居りませんので使っているうちに簡単に取れてしまう事もあろうかと思います。そんな時には市販の毛糸で絨毯本体の縁かがりの部分に再度かがり付けても良いですし保管しておけば絨毯専門クリーニングをする機会に無料で再び取り付けて貰える筈です。
お使いください‼手織り絨毯
フロムギャッベ