イランの経済と絨毯

手織り絨毯

イランの知り合いがお土産に持って来てくれるのはピスタッチオ豆やドライフルーツ・キャビアなどですね。イランの取って置きのお土産なのかと思います。多くの日本人の持っているイランのイメージは砂漠や石油が強くて農業と結びつきませんが、果実や野菜などの農作物は豊富で周辺国に随分と輸出を伸ばしているようです。昔カスピ海の方で果実の低温保管庫or冷蔵庫みたいな物=保冷庫?を作れる日本企業を探しているので調べてほしいとの話を聞きました。

勿論、イラン経済の半分以上は原油・天燃ガスなどの石油関連です。特に天然ガスの埋蔵量は世界第二位だそうです。他のアラブなどの石油産出国と同じ超金持ち国である筈なのにイランのどこにそんなお金が消えて行くのでしょう?少なくともテヘランの絨毯バザールでは隙間風が吹いているようです。

石油関連に続いて自動車・鉄鋼・化学製品・絨毯・農産物などが、ランクインするようです。因みに1990年代前半の輸出産品の内、石油関連を除いた残りのうち半分近くは絨毯で有ったようです。

近年も、失業率は10%近く、物価上昇率が45%、銀行金利が23%以上の中にありここ30数年のGDP平均成長率は3.9%と言うイランですが、日本ではなかなか想像出来ない経済状況です。

日本は流石に自動車は輸入されないでしょうが、石油や絨毯・農産物などはとても欲しい産品です。2018年トランプ米政権がイランとの核合意から離脱し経済制裁を再発動して以来、イランとの経済的な結びつき(輸出入)は本当に風前の灯になりました。イランは代わりに中国・イラク・アフガ二スタン・ロシア・アラブ首長国。インドなどとの経済的結びつきを強めている様です。

その様な情勢の中でも日本にはペルシャ絨毯の愛好家が一定数いるので絨毯輸出国イランとしては現在ドイツと日本が頼みの様です。

イランを代表する輸出品の1つであり数千年続く技術であるペルシャ絨毯が大打撃を受けているのは本当に残念です。正確な数字は闇の中ですが、かつて120万人以上が従事して数百億円以上~千億円以上の輸出額で有った手織り絨毯産業の従事者がどんどん減っている様です。トランプ大統領の2018年経済制裁前のオバマ大統領時代には100億円以上の米国への輸出が有ったのが、無に帰した様です。
(イラン絨毯の1994年の輸出額は統計上だけで17億米ドル、2008年の輸出額は4,2億米ドル、2011年は4,3億米ドル、2017年は2,0億米ドル2022年は僅か0,25~0,5億米ドルでした。*統計の出処で数字のバラツキ有り。)
1994年にイランの絨毯輸出額が1700億円余りにも昇ったのは日本のバブル期から続いたペルシャ絨毯ブームの影響が大ですね。現在の輸出額は40億~75億円にも満たない状況です。

シルクロードの時代(奈良)より交流が有り,日章丸事件やソニーやトヨタ自動車の工業製品、イランの国民的ドラマ「おしん」や日本の経済協力、、、ウンぬんを通じて先人達が信頼を築いてきた親日の国イランですので何とか現状を打破出来ないのでしょうか?
英国のシンクタンク「王立国際問題研究所」の北アフリカ・中東担当の研究員もイランの手織り絨毯産業の行方を懸念しています。


お使いください!!ペルシャ絨毯
フロムギャッベ

*ギャッベ絨毯の故郷ザクロス山脈の丘陵地帯に果実のザクロが自生しています。一説には果実のザクロの呼称もザクロス山脈に由来しているとの事です。果実ザクロの皮を煮だして黄色の染料にするのは有名です。

*プジョー・ルノー系のIKCOとシトロエン系のSAIPAが日本のかつての自動車産業黎明期におけるトヨタと日産の様にイラン自動車産業を牽引しています。国内需要やアゼルバイジャン・イラクなど周辺国への輸出を含めると100万台以上の生産量だそうです。販売価格は50万円前後の様です。因みにインドの生産量は585万台、日本は国内は784万台+海外生産は1696万台だそうです。
日本は自動車の製造は世界トップクラスですので欧州車・米車以外の輸入車を見ることは殆どありませんが、これからはイラン製、インド製、ルーマニア製などの廉価車が輸入されるように成りましたら面白いですね。

*私の聞いた2000年頃のイランは平均年収は十数万円で家はテヘラン辺りでも80万円もあれば立派な家を買う事が出来たようでしたが、超インフレーションが続いた結果、現在は平均年収2百万円以上で家は5千万円は当たり前、1億円も普通に有ると聞いてビックリしています。

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