今更ながらですが、ギャッベとは?
イランの南西部に跨るザクロス山脈ファールス州で遊牧生活を送っていた最大勢力のカシュガイ族始めルリ族、古くはハムセ連合・バクティアリ族などと言った人々がテント生活の必需品として織っていたウール製の毛足の長い絨毯をペルシャ語で(粗いとかザックリとしたとか生のとか言う意味の)ギャッベと総称していたようです。
20世紀のイラン政府の遊牧民の定住化政策など様々な要因で遊牧生活もし難くなり半定住や定住が進み現在は遊牧生活も本当に限られている様です。勿論その過酷な遊牧生活から抜け出したいと自ら考える若者・女性も増えているとの事です。独特の素晴らしい遊牧民文化は急速に失われています。
1960年代迄は自分達の生活の必需品として作られていたに過ぎなかったギャッベ絨毯ですが、欧州、特に絨毯好きの当時の西ドイツ人の目に留まり面白がられて輸出化(商業化)されるようになり現在のような世界中で人気の現代ギャッベの時代を迎えました。素朴で自由なデザインをするカシュガイ族や大胆な幾何学模様を操り唯一無二の絨毯織りルリ族などにルーツを持つギャッベ絨毯は丈夫で機能的な上、使い心地も良く子供のお絵描きの様なテイストが魅力の絨毯です。
現在便宜上、ギャッベ絨毯はカシュクリ・アマレ・ルリなどと品質のランク付けがされていますが、カシュクリ族やアマレ族・ルリ族が織っているわけではありません。かつてカシュガイ族の一派であるカシュクリやルリ(louri)族は絨毯織りの名人と言われていたので細かい(リーズ・riz)織りのギャッベに用いられています。そのような事からカシュクリとルリとリーズと言うギャッベ絨毯に対する呼び名は殆ど同義語です。織りの細かいギャッベと言う意味で使われています。
又、現在世界中で大人気のギャッベ絨毯ですのでアフガニスタンやインドなどでもギャッベ風絨毯が作られたり、同じ同品質のイラン製で有っても商業ベースに乗り色々な名前でランク付けをされて価格もマチマチで販売され消費者にとって判り難い状況になってしまったようです。
その様な変遷を経て来ていることから様々なギャッベが市場に溢れています。
そんな中から今回は最大勢力カシュガイ族に次ぐルリ族のテント生活の必需品時代のギャッベをチョットお楽しみください!時代を経て現在カーペット売り場で目にされる現代ギャッベ絨毯とは随分違うと思います。 古き良き売る為では無く自分たちが使う為に作られた絨毯です。
お使い下さい!!手織り絨毯
フロムギャッベ
*ハムセ連合とは1862年にザクロス山脈の反発勢力カシュガイに対する対抗勢力としてカジャール朝政府が5つ(ハムセ)の部族を連合させました。