- コーカサス絨毯ーカザックとは黒海とカスピ海の間のコーカサス地域の人々が織る絨毯のことです。
古いコーカサス絨毯には産地が南コーカサス3国(アゼルバイジャン・ジョージア・アルメニア)以外のトルコとかロシア・イランと表記されている物もあります。コーカサス地域に近いトルコのカースや現在ロシア領の北コーカサスのタゲスタン、現在のイランのアゼルバイジャン地方で作られた物なども見られます。
最も1826年~のロシア・ペルシャ戦争でイランが敗北する以前は現在のアルメニア・アゼルバイジャン地域はペルシャの領土で有りました。
コーカサス地域は東西に走るコーカサス山脈で北と南に分けられますが、ソ連崩壊後もロシア領の北コーカサスのタゲスタン・デルベント(ダーベント)や国境を挟んでアゼルバイジャン側のクバ、バクー・シルヴァン・ガンジェ(ゲンジェ)・カザフ(カザック)・カラバフ、アルメニアのパンバク・セヴァン(セワン)などがかつての有名産地です。
- コーカサス絨毯の中心地であるアゼルバイジャンの絨毯が、ユネスコの無形文化遺産登録がされ一方絨毯専門学校が設立されて技術の継承・復活を計画しているという事は現在は随分と生産量が少なくなっているのでは無いでしょうか? 現在新品のカザック絨毯として主にヨーロッパや日本で流通しているのはアフガニスタンかパキスタン、又はインド製のカザックデザインです。
一方ロシア最南端の経済の発展が遅れているタゲスタンの町では今も昔ながらの手織り絨毯作りをしているようです。アルメニアは紀元前よりの手織り絨毯作りが行われて来た地域ですが、現存する最古の手織り絨毯パジリクもマイナーな説では有りますが、アルメニア産説も有る程です。
コーカサスの絨毯は特有の色彩と装飾性の高いレスギ星・ドラゴン・卍・雲帯・鍵付きダイヤモンド・動物などの幾何学・植物模様等を持ち、19世紀から1920年代頃までに織られたものはヨーロッパに盛んに輸出されました。現在もアンティーク絨毯のコレクターアイテムとして欧米では高額取引されております。主に下記の様な1920年頃迄に作られた縦糸もウール製で100%自然染料染めの物が人気のコレクションの対象になって居ります。
*karachoph の場所を調べようとしたら次の「広瀬院長の弘前ブログ」の2008年3月13日投稿にコーカサス絨毯に付いて詳しく書かれていました。是非御覧下さい。
*イアン・ベネットさんの著書に依ればkarachoph(karachov)はロリ・パンバク(現在のアルメニアの北部に有る)の南東にある町で1900年前後には西洋への輸出向けに盛んに手織り絨毯が作られたようです。
お使い下さい!!手織り絨毯
フロムギャッべ
*コーカサス絨毯とカザック絨毯は殆ど同義語の様に使われていますが、現地オリジナルの絨毯はコーカサス絨毯と呼ぶ方が良いと思います。
現在アフガニスタンやパキスタンで作られて輸出されているコーカサスデザインの復刻品はカザック絨毯と銘打っています。
カザックにはかつてウクライナで発生してその後コーカサス地方へ南下した軍事共同体コサックが、ロシア語でカザックですし、現在のアゼルバイジャンの西にカザック(カザフ)と言う有名な絨毯産地も有りましたので、詳細をイランのアゼリーの絨毯商やら方々に訪ねたことが有りました。そして5年ほど前からコサック説を受け入れていましたが、どうも先日投稿をしてみたものの気に掛かるのでアゼルバイジャン大使館にも訪ねてみましたが、判明しません。
英国や米国のヨーロッパのコーカサス絨毯を多く扱う絨毯商なども多くはコーカサス絨毯・コーケイジョン絨毯を使用していますが、アルメニアやタゲスタンの絨毯にも「ロリパンバク カザック」「デンベルト カザック」の様にカザックを使う事も有りますし、カザックより有名(もしくは同等)なクバやシルバン・カラバフなどの産地も有るのでアゼルバイジャンの地名カザック説も腑に落ちません、、、、いまだにカザックの詳細が判明しませんのでカザック絨毯と言う呼称は使わずコーカサス絨毯を使うことにします。誠に申し訳ございませんが、先日の投稿も訂正させて頂きました。
*Ian bennett 著
〈オリエンタルラグ コーカシアン〉