ブルガリアと言えばヨーグルトと小説で読んだ首都ソフィアとイコン画のイメージ位しか浮かんで来ない私にとっては未知の東欧の一国で、時折、手織り絨毯を中古市場で見かけると手織り絨毯を作っているのか~と少し気になる程度でしたが、ユネスコのIntangible cultural heritage(無形文化遺産)の記事を見ていたら
The tradition of carpet-making in Chiprovtsi – intangible heritage – Culture Sector – UNESCO
上記のような記事が有りました。
2013年時点でブルガリアの北西部のチプロフツィ(チプロヴツィ)と言う田舎町の各家庭で遊牧民さながらに羊を育て糸を紡ぎキリムを女性たちが伝統的に織っているという事です。動画では織りから羊の毛の糸紡ぎやナチュラルダイの様子まで見ることが出来ます。
トルコの北に位置するブルガリアですので、トルコのキリムと似ているように見えますね。多分オスマントルコ時代に広がったのでしょうか? もしかするとトルコシャルキョイ(Sarkoy)キリムとして日本で売られているかも知れませんね。私が中古市場で見かけた謎のブルガリア製パイル絨毯は織りが粗く余り出来の良いものではありませんでしたが、キリムはとても良さそうに見えますね。調べてみるとブルガリアの9%はテュルク系の人々の様です。現在ブルガリアでどの程度キリムや手織り絨毯が作られているのか知りませんが、貴重ですね!10年経った現在も同じ様にチプロフツィの各家庭で作られているとしたら驚き桃の木感激ですね!
お使い下さい!!手織り絨毯
フロムギャッベ
*チプロフツィ(チプロヴツィ)の町は農業・畜産・観光を中心とするバルカン山脈西部の麓の渓谷に広がる人口数千人の町でチプロフツィ山を越えるとセルビアになる様です。
*トルコのキリムは素晴らしい。キリムと言えばトルコです。コンヤやクルド系マラティヤなど有名なトルコキリムの中の一つにバルカン半島のトラキア地方セルビアトルコ・ルーマニア・ブルガリア辺りがルーツの人々によって織られるギョチメンリック(移民)キリムと呼ばれるものが有ります。曲線の生命の樹やサソリ、麦の穂など伝統のモチーフが美しい。
*調べてみると現在イスタンブールから西へ車で2~3時間のマルマラ海の北にシャルキョイと言う名の町がありますが、キリムで使うシャルキョイはオスマン帝国時代に占領下にあった現在のバルカン半島のセルビア・ブルガリア・ルーマニア辺りも含めたトルコのヨーロッパ側で織られたキリムをシャルキョイキリムと呼ぶようです。シャルキョイは1800年代のコチニールカイガラムシからの赤染めが有名です。
追伸
*ウィキペディアでこの町を調べてみたらこの町の住民はてっきりテュルク系の人々と思いきやオスマン時代のある事件をきっかけに30年間無人であったこの町に1720年代より住み始めた東方正教会の信徒の人々の様です。そしてそこから絨毯産業が興ったとの事です。それでもこの地に300年続いている事になります。なかなか興味深く珍しいケースです。
ギリシャ始めブルガリアやセルビアに絨毯・キリム(キリミ)作りを伝えたのはオスマン帝国時代のテュルク系の人々かと想像しますが、現在のチプロフツィのキリム織りは東方正教会の正教徒の人々によって始められた言う事です。