今日市場に流通しているパイル絨毯は製造方法・価格や素材も国や歴史もデザインも色々過ぎて複雑極まります。そのような絨毯の多様性をある程度理解していないと一般消費者は絨毯を購入する時際、色々と迷ってしまうかもしれません。
絨毯の元祖は勿論中央アジアで古代の遊牧の人々が家畜の毛から糸を作ってテントの中で快適に暮らすために発明されたとても多くの人手と時間を要する織り物でしたが、その後近世になると人類の要求に応じて簡単に作る為の工夫・技術革新がなされ様々な製造方法が生まれて来ました。今日ではコンピューター制御で作られてしまう人手を殆ど要しない物迄有ります。手織り絨毯だけでも製造国の物価や・人件費・素材・織り方に拠ってピンからキリまで有るのに更に近世の様々な製造方法によって更に何十倍、何百倍の価格差が生まれています。
近世発明された絨毯製造方法
従来の手結び手織り絨毯に加え18世紀には英国で始まりその後ベルギーやトルコなど各国に移って入ったウィルトンや上位のアキスミンスターの力織機織り、米国の手動フックガンによるフックカーペット(ハンドタフテッド)・20世紀半ばには米国で自動ミシン針で基布にパイルを刺し裏から接着剤で固定するタフテッドカーペットが発明され、その他にもインド特有のハンドルームと呼ばれる織機で織るハンドルームカーペット、将又イラン・トルコの自称半手織り/半機械織りなど色々な製造方法が有ります。皆コストのかかる手織り絨毯を簡単に作って安価にする為の製造技術であり少なからずどの製法も現役で使われています。勿論、日本でも手織り以外の製造方法も色々と使われています。
近世使われるようになった新素材
素材も従来は羊を中心とするウールに絹と綿と言った自然素材のみでしたが、アクリル・ポリエステル・ナイロン・レーヨンなどが加わりました。
絨毯を製造する国々
手織り絨毯(hand knotted)と言えばイラン(ペルシャ)・アフガ二スタン・トルクメニスタン・パキスタン・インド・・ネパール・中国、トルコ、アゼルバイジャンなどが有名ですが、手織り/機械織り・少量/大量を問わなければ北アフリカや日本,ベトナム,ウズベキスタン・モンゴルなどのアジア諸国・スペイン,アイルランド,フィンランド,ベルギーなどの西欧諸国・エジプト,アメリカなどでも作られています。
以前は絨毯に対して一番の期待する効用は防寒でしたがその目的も色々になって来て居り、使用する国々も増えている様です。ムガール絨毯で有名なパキスタンやインドでさえ宮殿やモスクを除けば暑い地域の一般家庭で絨毯を使うことはあまりなかった様です。反対にドイツやイギリスはじめ寒いヨーロッパの国々では必需品ですね。空調設備の整った現在は防寒の効用は勿論ですが、インテリア装飾性・使い心地などの満足感が大きな効用となっています。
手織りと機械織り全ての絨毯を併せると現在の絨毯輸出量世界ナンバー1、2はインド、中国になります。
実力・魅力ではやはりまだペルシャが世界ナンバー1 !! と思います。
勿論お奨めは手結びの手織り絨毯-Hand knotted carpetsです。
お使いください!!手織り絨毯
フロムギャッベ
*遊牧国モンゴルも以前は大方の手織り絨毯製造国であるトルコ・ペルシャ・中央アジア・チベット・中国迄全て領地で有ったので手織り絨毯がかつてモンゴル人によっても作られていたのではないかと考えますが、現在は上質のウールをアキスミンスターの力織機で織り上げたラグのみを展示会や市中で見かけます。ちょっと触ってみたところ手織り絨毯もウカウカしていられませんと言うほど良さそうな感触でした。
*フックカーペット(ハンドタフテッド)は手織り絨毯同様に一枚だけオリジナルで作ることが容易です。エアガンと言うかタッカーの様な道具で基布にパイルを次ぎ次ぎと打ち込んでいきます。かつて結婚祝いに人気の名入りWELCOME MATや商業施設ホテルやレストランのロゴ入りマットなどは多くがフックガンによるものです。今でも日本でオリジナル品を作るのに多く使われています。
*フィンランドも王室御用達のBOTONIA CARPETS社なる絨毯メーカーが有ってかつてスコットランドウールを使ったラグを東京のフィンランド大使館から要請が有り購入したり営業マンが訪ねて来てコットンの裂き織りのラグを輸入したりした事が有りましたが、寒い国らしい厚手で上質のラグでしたが、円高では有りましたが福祉国家フィンランドはさすがに物価が高く中々捌くのに苦労した思い出が有ります。
*イラン国内のイランの人々にとってもペルシャ絨毯は高価な物ですので古い手織り絨毯を新しいウィルトン織り絨毯に代えることが、多々あるようです。そうした古い絨毯の中から価値ある物はリペア・再生されて又、ユーズド品として主に欧州で活躍するとの事です。